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嵐山、御菓子司「鶴屋寿」の名物「嵐山さ久ら餅」、白い桜餅に宿る老舗の美意識と物語

嵐山の春を一年中楽しめる「鶴屋寿」とは?

京都の嵐山といえば、渡月橋や竹林の道、そして四季折々の美しい景色が思い浮かびますよね。
特に春の桜シーズンは、嵐山全体が淡いピンク色に染まり、言葉にできないほどの美しさです。

そんな嵐山で、「嵐山の桜をそのままお菓子にした」と絶賛される銘菓があります。
それが、鶴屋寿の看板商品「嵐山 さ久ら餅」です。

1948年(昭和23年)の創業以来、嵐山でただひとつの桜餅専門店として地元の人々と観光客に愛され続けてきたこの店には、単なる「美味しいお菓子屋さん」という言葉では語り尽くせない、深い歴史と哲学があります。

多くの和菓子店が春限定で桜餅を販売する中、鶴屋寿ではなんと一年中この桜餅を味わうことができます。
「季節外れに桜餅?」と思う方もいるかもしれませんが、一口食べればその理由が分かります。
それは、単なる季節菓子を超えた、完成された一つの「作品」だからです。

観光地の喧騒から少し離れた場所に、その店はある

まず、場所についてお話ししますね。

JR嵯峨嵐山駅から徒歩で5分ほど。
嵐電の嵐電嵯峨駅からも同じくらいの距離です。
観光客でにぎわうメインストリートから少し離れた、落ち着いた住宅街の中に鶴屋寿は店を構えています。

大通りをにぎやかに歩いていると、ともすれば見逃してしまいそうな、静かな佇まいの店構え。
しかしひとたびその前に立てば、軒先にかかる「さ久ら餅」の看板が目に入り、季節を問わずほんのりと漂ってくるような桜葉の香りが、自然と足を止めさせてくれますよ。

店内に入ると、ひんやりとした空気と、整然と並べられた化粧箱の美しさに思わず息をのみます。
お花見シーズンの最盛期ともなれば、予約された化粧箱入りの桜餅が所狭しとうずたかく積み重なっているといい、その光景からも、いかにこの店が地元の人々や贈答用の手土産として重宝されているかがわかりますね。

営業時間は9:00〜17:00で、定休日は無休。
年中無休というのも、この店のさ久ら餅に対する情熱と自信の表れといえるかもしれませんね。


創業の物語——鶴屋吉信から暖簾分け、そして嵐山へ

鶴屋寿の歴史を紐解くには、まず「暖簾分け」という話から始めましょう。

この店は、京都の老舗菓匠「鶴屋吉信」から暖簾分けをされ、1948年(昭和23年)に嵐山で創業しました。
鶴屋吉信といえば、元禄時代(1700年代)から続く京都でも屈指の老舗和菓子屋。
その名門から暖簾分けを受けたということは、それだけの菓子づくりの技術と精神を受け継いでいるということでもありますね。

創業当時の嵐山はどんな場所だったのでしょうか。
現在と同様、嵐山は古くから桜の名所として知られており、多くの文人墨客や茶人たちが訪れる地でした。
そして何より、「吉兆嵯峨支店」(現・京都吉兆嵐山本店)をはじめとする名だたる高級料亭が集まる、美食の街でもありました。

今でこそ吉兆、松籟庵、星のや京都、MUNI ALAIN DUCASSEなど、ミシュランレベルの名店がずらりと名を連ねる嵐山。
創業当時も、料亭文化の中心地として輝いていたこの地に根を張ったことが、後の鶴屋寿の歩みを大きく左右していくことになっていきます。

創業当初、鶴屋寿は一般向けの小売店というよりは、嵐山の老舗高級料亭へのお茶菓子や手土産を主に製造していました。
その中の一つが、あの伝説的な料理人、湯木貞一氏が創業した日本料理の最高峰「京都吉兆」です。

実は、鶴屋寿の桜餅が「白い」のには、湯木貞一氏のアドバイスが深く関わっていると言われています。


白い桜餅誕生の秘密——吉兆・湯木貞一氏との運命的な出会い

では、なぜ鶴屋寿の桜餅は「白い」のか。
そこには、日本料理界の巨人との運命的なエピソードが存在します。

鶴屋寿の現社長の先代は、吉兆グループの創業者である湯木貞一氏と親しい間柄にありました。
その縁から、吉兆などの料亭から桜餅の注文を受けるようになったのだといいます。
それは、料亭の客が帰る際に、手土産としてお渡しするための菓子としてです。

「料亭からお客様がお帰りになるときに、手土産としてお渡ししていたんです。やはり吉兆様などのお客様が相手ですから、変なものはつくれないので、とにかく一所懸命に頑張っていました」と、二代目店主の野村紳哉さんは語っておられます。

問題は、桜餅の「色」でした。

一般的な桜餅は、淡いピンク色をしている。
春の訪れを感じさせる愛らしいその色は、桜餅の代名詞ともいえます。
しかし吉兆の名で贈り物として使うとなれば、季節を問わずいつでも手土産として通用する品格が求められるため、春にしか似合わないピンクの桜餅では、夏や秋に手土産として使いにくい。

そこで湯木貞一氏がアドバイスを与えた。
「四季を通じて供する桜餅であれば、季節感を主張しない白い桜餅が良い」と。

この一言が、鶴屋寿の「嵐山さ久ら餅」の原点となりました。
道明寺糒(ほしいい)本来の色をそのまま生かした、白く優しい色合いの桜餅が誕生しました。
着色料を使わないから安心してもらえる、という実用的な側面もあり、そして何より、この白さがあることで、春夏秋冬を問わず「嵐山の手土産」として年中愛用され続けるお菓子になりました。

「湯木氏のアドバイスを受けて、道明寺本来の色をそのままいかした色合いになりました。
やっぱり一年中違和感なく提供できますし、着色料を使ってないので安心してもらえる部分もあります」と、二代目店主の野村さんも語っておられます。

店のウェブサイトのアドレスが堂々と「sakuramochi.jp」であることも、いかにこの店が桜餅一筋に生きてきたかを物語っていますね。


「嵐山さ久ら餅」——その外見と味わいの美学

「嵐山さ久ら餅」を初めて手にした人は、まずその外見の端正さに目を奪われるのでではないでしょうか。

濃い緑色の桜の葉が2枚、大切なものを包み込むようにそっと添えられていてその葉の間から、白く輝く小ぶりな道明寺がのぞいています。
華美ではなく、しかし確かな品格を持つその佇まいは、まさに上生菓子の風情ですね。
お茶席で出されても違和感がないどころか、むしろそこにあるべき存在として場に溶け込むようです。

一口いただけば、まずやさしい弾力と「ぽってり」とした、みずみずしい食感が広がります。
もちもちというよりも、もう少し柔らかく、ほどけるような口どけ。
その中に包まれているのは、上品な甘さのこし餡です。
甘すぎず、後味が残りすぎず、あっさりとしているのに、あんこ本来のしっかりとした風味は感じられます。

そして何より際立つのが、桜の葉の香りです。

塩味はほとんど感じられないのに、桜の葉の芳香だけがしっかりと道明寺に染み込んでいる。
口に入れた瞬間、口いっぱいに桜の葉の香りが広がり、食べ終わってからもその余韻が続く。
上品で、清楚で、それでいて印象的——そんな一口です。

「2〜3個ぺろりといただけてしまうような美味しさ」「今までで食べたさくら餅の中で断トツの旨さ」「柏餅派なんだけど、この桜餅は絶品」——多くの食べ手がそう表現するのも、うなずけますね。

渡月橋を眺めながら、いただきました

二種類の道明寺をブレンドするという職人の哲学

鶴屋寿の桜餅を他と一線画す要因のひとつが、道明寺粉へのこだわりです。

道明寺とは、もち米を水に浸してから蒸し、乾燥させて粗く砕いたもの。
その名は大阪・藤井寺市にある「道明寺天満宮」に由来し、千年以上の歴史を持つ保存食・携帯食として発展してきた食材です。
豊臣秀吉の時代には戦時に竹筒に入れて持ち歩き、空腹時に水でふやかして食していたともいわれていますね。

関西風の桜餅によく使われるこの道明寺だが、通常は一種類だけを使うのが一般的です。
しかし鶴屋寿では、粒の大きいものと小さいもの、二種類の道明寺を独自の配合でブレンドして使用しています。

店のオリジナルの粗いものと細かいものを組み合わせることで生まれる、独特の舌触り。
それぞれの食感が微妙に異なるため、口の中でより複雑な、豊かな食感が生まれるのだという。
「わずかな食感の違いが口にした時の味わいの豊かさを生み出していると自負しています」と、店側も語っておられます。

そのこだわりは、ある顧客からの逸話にも表れている。
「あまりの美味しさに手が止まらず、16個も食べてしまいました」と報告してくださったお客様が再注文されたというエピソードは、この桜餅が「後を引く」美味しさを持っていることを示している。


桜の葉に宿る芳香——伊豆大島産、木製樽で漬け込む

鶴屋寿の桜餅に使われる桜の葉もまた、妥協のない選び方をされている。

使用されるのは、伊豆地方の特産品でもある「大島桜(オオシマザクラ)」の若葉
この葉を選ぶ理由は明確です。
大島桜の葉は、桜葉特有の芳香成分「クマリン」の含有量が他の桜より多く、無毛で光沢が強く、形が良いという特徴をもちます。
クマリンというのは、もともと生の葉にはなく、塩漬けにすることで生まれる芳香成分です。
つまり、あの桜餅の上品な香りは、丁寧に塩漬けされることで初めて誕生するものなのです。

しかも、鶴屋寿が使う桜葉は純国産。
木製の四斗樽に、丁寧に漬け込まれたものだけを仕入れています。

桜の葉の塩漬けができるまでの工程も実に手がかかります。
毎年6〜7月の最盛期に畑から採取した葉を、50枚1束にして束ね、300束ほどを籠に入れて工場へ運搬。
大きさで3段階に選り分け、樽に積み重ね、18度の塩水に重石をのせて常温で漬け込む。
そして半年から1年半という長い時間をかけて漬け込んだ後、さらに大きさと硬さで選り分けて真空包装される。
それだけの工程と時間をかけて生まれた葉が、あの芳醇な香りを纏っているのです。

そして注目すべきは、その葉が2枚使われること。
通常の桜餅は1枚の葉で包むことが多いが、鶴屋寿では2枚の葉でくるむことで、香りをより豊かに閉じ込めています。

ちなみに、この桜の葉は食べるかどうかよく議論になりますが、店側では「葉そのものはちょっと苦味があるので、お取りいただいて、道明寺の風味、食感を楽しんでほしい」と案内しています。
すでに葉の香りは道明寺にしっかりと染み込んでいるため、葉を外してもその芳香は十分に楽しめるのだという。
葉っぱ好きな方も苦手な方も、ぜひ一度、葉なしで道明寺だけを味わってみると、また新鮮な発見があるかもしれないですね。


美しい化粧箱と、木版手刷りの掛け紙という美学

鶴屋寿のさ久ら餅をより一層特別なものにしているのが、パッケージへのこだわりです。

店内には何種類もの化粧箱が用意されており、贈る相手や用途に合わせて選ぶことができます。
竹かごに入った風情あるものから、上品な箱入りまで、どれも手土産としての「格」を意識した仕様になっています。
箱を開ける前からほんのりと漂ってくる桜の塩漬けの良い香り——「上品な竹かごに、歴史を感じる粋な意匠の掛け紙」と表現した人もいるように、受け取る人の心を豊かにする演出が随所に込められています。

特に見逃せないのが、和紙に木版手刷りで印刷された掛け紙です。
その原画を手がけたのは、嵐山にゆかりのある絵師「山本紅雲(こううん)」
「鮎を描かせたら天下一品」と称されたその絵師の手による意匠が、桜餅のパッケージを芸術品の域へと引き上げています。

吉兆のような格式ある料亭の客への手土産として生まれた菓子だからこそ、見た目の美しさへの徹底したこだわりが宿っている。
菓子の美味しさとパッケージの美しさ——その両方が揃って初めて完成するという考え方が、鶴屋寿の哲学の核にあります。


一年中、桜餅を届けるということ

「嵐山さ久ら餅」の大きな特長のひとつに、通年販売という点があります。
一般的に桜餅は春のイメージが強く、春限定で販売するお菓子屋さんも多いですが、
鶴屋寿では、夏も秋も冬も、一年を通じてこの桜餅を作り続けています。

これは、白い桜餅が誕生した理由とも深く結びついています。
季節感を主張しない白い色合いだからこそ、いつでも手土産として持参できる。
送る側も受け取る側も、季節にかかわらず使えるという利便性は、通年で愛されるお菓子になくてはならない要素です。

夏期(6〜9月頃)はクール便で発送されるため、受け取ったお餅が少し硬くなることがあります。
そのまま冷たい状態でいただくと、ひんやりとしたもちもち感が夏ならではの涼を感じさせてくれます。
もう少し柔らかいお餅がお好みの方は、召し上がる1時間ほど前に常温に置いておくと、いつもの柔らかさに戻るとのこと。

また、時間が経って硬くなってしまった場合の食べ方として、「1〜2分蒸していただくか、葉を付けたまま油で揚げていただければ違った風味を楽しんでいただける」という店側のアドバイスも面白いですね。
揚げ桜餅——想像するだけで食欲をそそられますよね。


百貨店でも買える、嵐山土産の最高傑作

鶴屋寿の「嵐山さ久ら餅」は、嵐山の本店だけで購入できるわけではないです。
京都駅の伊勢丹、四条河原町の高島屋百貨店地下、日本橋高島屋の銘菓百選コーナーなど、全国の有名百貨店でも取り扱われています。
新宿タカシマヤの和菓子コーナーでも日替わり銘菓として登場することがあるほどです。

通販でのお取り寄せも可能で、クレジットカード決済、銀行振込、代金引換に対応している。ウェブサイト(sakuramochi.jp)からの注文のほか、FAXや電話でも受け付けている。

ただし、百貨店での販売は数に限りがあることが多く、「最後の1箱をタッチの差でget!」という声も聞かれます。
嵐山観光の際にはぜひ本店に立ち寄ってほしいですが、もし行けない方やお取り寄せをお考えの方は、早めの手配をおすすめします。


嵐山の桜餅の歴史を受け継ぐ店として

少し視野を広げてみると、鶴屋寿の存在がいかに歴史的に意義深いかがわかります。

関西風の道明寺桜餅の起源は1800年代前半とされ、江戸で人気を博した長命寺の桜餅を参考に大阪で作られ始めたといわれています。
そして明治の半ばには、京都の嵐山近辺で道明寺粉を使った桜餅が「嵯峨名物桜餅」として売られていた記録が残っています。

鶴屋寿は、その嵯峨嵐山の桜餅文化を最も古くから継承している和菓子屋のひとつとされています。
嵐山という地の桜餅の歴史を体現し、守り続けてきた店が、まさにここなのですね。

俳人・飯田蛇笏が詠んだ句「さ久ら餅 食ふや みやこのぬくき雨」にも、桜餅が単なる食べ物を超えた、京都の文化そのものであることが感じ取れますね。


店舗情報

御菓子司 鶴屋寿(つるやことぶき)本店

  • 住所:京都府京都市右京区嵯峨天龍寺車道町30-6
  • 電話:075-862-0860
  • 営業時間:9:00〜17:00
  • 定休日:無休
  • アクセス:JR嵯峨野線「嵯峨嵐山」駅 徒歩5分 / 嵐電「嵐電嵯峨」駅 徒歩5分

嵐山を訪れたなら、必ず立ち寄りたい場所

嵐山に行くたびに思うことがあります。
渡月橋を渡り、竹林を歩き、天龍寺の庭を眺める。
それだけでも十分に豊かな旅ですが、そこに鶴屋寿の「嵐山さ久ら餅」が加わると、旅の記憶がまた一段と深いものになる気がします。

観光地の主要スポットを巡った後、少し道を外れて静かな住宅街の路地を歩き、ほんのりと桜の香りがする小さな和菓子店の前に立つ。
白い道明寺を2枚の緑の葉が愛おしそうに包んでいるその姿を眺め、一口いただいたとき——あの瞬間の静けさと美しさは、嵐山という土地そのものを体で感じる体験だと思っています。

吉兆の故・湯木貞一氏の美意識が宿り、嵐山の絵師が描いた木版手刷りの掛け紙に包まれ、70年以上の歴史を持つ職人が二種類の道明寺粉を丁寧にブレンドして作り上げる白い桜餅——それは「食べ物」であると同時に、この地の歴史と文化が凝縮された「物語」ですね。

春の桜の季節に訪れても、夏の青葉の頃に来ても、秋の紅葉に染まる季節に立ち寄っても、冬の静謐な嵐山で出会っても——いつ訪れても変わらぬ白さで迎えてくれる鶴屋寿の「嵐山さ久ら餅」。

一年中、変わらず白いということ。
それこそが、この菓子の最大の誇りであり、長年にわたって愛され続けてきた理由なのかもしれないですね。

京都・嵐山を訪れる機会があれば、ぜひ一度、この白い桜餅に会いに行ってみてくださいね。

京たび

こんにちは!
京都生まれの京都育ち。
現在も大好きな京都で生活をしています。

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